昨日見た空は、きっともう何処にも無くて 明日見えるはずの空の色は僕にはまだわからない。
2013.09.22 Sun
ビルの隙間にやわらかく昇った月が白い。
日中にはまだ所々に残る熱も、
流石にこの時間ともなればもう完全に和らいで
切ったばかりの襟足を通る夜風は冷たさすら感じさせる。
退社時間は疾うに過ぎて人影は、まばら。
一日の疲れを、何とはなしに溜息に乗せて宵闇に放つ。
手にした鞄が少し重い。
夕食らしい夕食なんて放りっぱなしになっているけれど
まあ、いいか。
冷蔵庫からビールだけを流し込んで
眠ってしまう方がいい。
昨日までの僕と、今日の僕では
きっと何処にも違いなんか無くて
明日の僕もこうして疲れた靴で駅に向かうのだろう。
それがどうだと言うこともないけれど。
信号待ちの交差点
薄雲が空を横切って、月影も朧に消えていく。
オフィス街の二車線道路は、もう閑散としているばかり。
“忙しい”に縁取られたこの頃に
自分の声さえ聞こえなくなる。
どこか遠くでクラクションが騒いでいる。
そんなに急がなくてもいいのに、
なんて思って息を吐きながら空を仰げば
結局は自分も似たようなものかと気付いて少し可笑しい。
毎日が上り階段続きであることもないし、
下り階段ばかりであるはずもない。
きっと楽しいことばかりでは無いけれど
つまらないことばかりでも哀しいことばかりでも無いんだって
そう、知っているのに。
信号が青に変わる。
交差点を渡って少し歩けば、もうすぐ駅。
何の気なしに振り向けば
いつの間にか薄雲は流れ、月が顔を出していた。
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