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  昨日見た空は、きっともう何処にも無くて       明日見えるはずの空の色は僕にはまだわからない。
2025.04.20 Sun
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2013.09.15 Sun


独りの部屋を目覚まし時計のアラームが横切る。
テレビのリモコンに手を伸ばしてスイッチを入れれば
いつもどおり、丁度天気予報の時間。
どうやら今日は晴天らしい。
どうせ殆どの時間を空調の整えられたビルの中で過ごすのだから
どうでもいいのかもしれないけれど。
体を起こして洗面へ向かう。
顔を洗って鏡に映る顔は
やっぱり少し疲れているのかな。
最近、空を見る暇もありはしない、なんて思っても
本当はそんなはずはないってこと、
誰よりも自分が解っている。
ざっと朝刊に目を通せばそろそろ家を出る時間。
重さの割に薄い気がする鞄を手にして僕はドアを開ける。

通りに出たところで、老婦人にすれ違う。
薄茶の犬が僕に興味を示してくる。
「おはようございます」
赤い首輪のその犬と、勿論その主人に軽く頭を下げて過ぎる時に
「行ってらっしゃい、気をつけて」
彼女は僕に当たり前のようにそう声を掛けた。
“行ってらっしゃい”なんて、随分と久しぶりの言葉だった。
情けないことに驚いて即座に何も返せない僕に
眉を顰めることもなくその人は、にこやかに頭を下げて過ぎて行く。
「・・・行ってきます」
呟くようにやっと返した言葉はきっと届かなかっただろうけれど・・・。

駅に向かういつもの道の街路樹は
気がつけば秋の色に染まり始めていた。

 

 

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