ぼんやりと過ごしている間に
気付けば一年が過ぎ、二年が過ぎ
僕自身は何も成長しないままに、このまま終わっていくのかもしれないと
秋の晴れ間にそっと思う。
何をしたいのか、どうすべきなのか
このままではいけないように思っているのに
こころの先はいつでも見えない。
そんな状態で進むことなんて出来ないだろうに
それでも現状ではいけないのだと焦る自分がいるわけで。
理想はあくまで理想でしかないから、現実からの距離は計り知れない。
そもそも理想自体がきっとあやふやなのだから
ちゃんと進めるハズなんて無いのに。
もしかしたら僕は
何処かでボタンを掛け違えてしまったのかもしれない。
そんな情けないことをふと思ったりして
また、自分に溜息をつく。
ちょっとした気晴らしに、と
ランチタイムに足を向けたのは、会社近くの小さな公園。
昼食はサンドイッチとコーヒーだ。
簡単にそれをすませてベンチに背を預け、上を見上げても
ビル群の間の狭い公園からは
晴れた空だってどこまでも広がっているわけではないけれど。
何の気なしに視線を漂わせれば、駅へと続く道を賑やかな数人が通る。
格好から考えて、近くの大学の学生か。
こんな平日の昼間に珍しい、と訝しんで
ああ、試験期間なのだろうかと思い至る。
あの頃
もう随分遠ざかった懐かしい学生時代。
授業の空き時間などによく僕は
学内の日当たりの良い芝生の斜面で、のんびりと昼寝をしたものだっけ。
あの場所は、今もあるのだろうか。
仲間達と盛り上がり、若さ故のイキオイで
自主休講を決めて突然に海まで車を走らせたこともあったな、
なんて思い出せば
当時の馬鹿騒ぎが遠く微かに蘇った。
思い切ってこの週末は、少し遠出をしてみようか。
久しく海も見ていないし、この季節ならばそう混みはしないだろう。
最近聴く暇も作ろうとしていなかった、それでも気に入りの音源を流して
国道をまっすぐに下ってみよう。
そう、きっと、悪くない。
急に自分の中で立ち上がった計画は、
なんだかとてもいいことのような気がして
ちょっとだけ、楽しい。
現実逃避、なんて当たり前の言葉が頭を過ぎるけれど
それもまた僕らしいのかもしれないと、小さく笑った。
結局時折色々考えてしまうこともあるけれど
きっと僕はこうして過ごしていくのだろう。
少しばかり真面目に何かを考えて、
そしてまた、何かしらのリセットをかけたりする。
思い悩んだ振りをしているだけで
結局それほどに真剣に考えていないんじゃないかって
呆れたような自分の声が聞こえたりもするけれど
思い悩んで動けなくなるよりは、随分とましじゃないかと
もうひとりの僕が言う。
腕時計の針はそろそろ仕事に戻る時間。
軽く伸びをして立ち上がる。
僕の代わりにベンチには
カラリと秋の色の葉が舞い降りていた。