昨日見た空は、きっともう何処にも無くて 明日見えるはずの空の色は僕にはまだわからない。
2014.03.26 Wed
ざわりざわりと風が鳴る、半端月の春待ち夜に
ビールを片手に僕は今
一歩半のベランダで、ちょっと明日を考えている。
珍しく、少しばかり俯き気味なこころのワケは
別段たいしたことじゃない。
きっとよくある些細な出来事。
遠く踏切の音がして
溜息混じりに背中を窓に窓にもたれさせれば
月は雲に隠れるところ
月に兎が住むなんて遠い記憶のお伽噺を
ふっと思い出したりなんてして。
半ば身を削ったその場所の、何処で兎は跳ねるのか。
そんなことを考えて失笑する。
朧雲の向こうの月は
本当はちゃんと丸いんだって、僕は分かっているはずなのに。
脳裏を過ぎった本の挿絵の藍の中の兎が
一つ跳ねて背中を向けた。
愛想笑いが板についた僕を
昔の僕は嗤うだろうか。
仕方ないねと言いながら
本当はそうじゃないって誰よりも知っている。
それでもどうにもならないんだ、って
そんな言い訳は、何の役にも立たないのに。
アルミ缶を傾ける。
いつもと同じはずのビールが、今日は少しだけ苦い。
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