昨日見た空は、きっともう何処にも無くて 明日見えるはずの空の色は僕にはまだわからない。
2014.11.13 Thu
早足で過ぎる秋を惜しむように虫の音が聞こえて
半ば程まで藍に移りつつある空を
遠く鳥は家に帰る。
すれ違う駆け足の子供達に
不意に何か懐かしい匂いを感じて足を止めれば
街灯が瞬きながら点いた。
有休の消化という名の強制的な予定外の休日が
有休の消化という名の強制的な予定外の休日が
ぼんやりとしたままに暮れていく。
並木を通る北寄りの風の音が
なんだかちょっと寂しく思えたなんて
少しばかり疲れているのかもしれないけれど。
まあこんな日もあるよ、なんて
思える僕は、きっと大丈夫なんだろう。
住み慣れた部屋のドアを開けて、上着を脱ぎながら
ああ、あれは確か と
唐突に匂いの記憶が蘇る。
先刻すれ違った、それ。
そう、あれは墨汁の匂いだ。
何故か僕は決まってシャツの袖口に黒い染みを作ってしまったのだっけ。
『まったく』と、呆れ混じりの母の笑みをやけにはっきりと思い出した。
習字の時間なんて面倒くさいばかりで嫌いだったと
随分と昔の事を思い返して、小さく笑った。
すっかり日は沈んでしまったけれど、夕食までにはまだ早い。
すっかり日は沈んでしまったけれど、夕食までにはまだ早い。
とっておきのコーヒーを、懐かしい曲に乗せて
いつの間にか置いてきてしまった少年の僕を
もう少しの間、探してみようか。
感傷に浸るのもまあ悪くは無いと思うほどに
どうやら僕は大人になっているらしい。
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