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  昨日見た空は、きっともう何処にも無くて       明日見えるはずの空の色は僕にはまだわからない。
2024.11.23 Sat
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2013.11.12 Tue


ぼんやりと過ごしている間に
気付けば一年が過ぎ、二年が過ぎ
僕自身は何も成長しないままに、このまま終わっていくのかもしれないと
秋の晴れ間にそっと思う。
何をしたいのか、どうすべきなのか
このままではいけないように思っているのに
こころの先はいつでも見えない。
そんな状態で進むことなんて出来ないだろうに
それでも現状ではいけないのだと焦る自分がいるわけで。

理想はあくまで理想でしかないから、現実からの距離は計り知れない。
そもそも理想自体がきっとあやふやなのだから
ちゃんと進めるハズなんて無いのに。
もしかしたら僕は
何処かでボタンを掛け違えてしまったのかもしれない。
そんな情けないことをふと思ったりして
また、自分に溜息をつく。

ちょっとした気晴らしに、と
ランチタイムに足を向けたのは、会社近くの小さな公園。
昼食はサンドイッチとコーヒーだ。
簡単にそれをすませてベンチに背を預け、上を見上げても
ビル群の間の狭い公園からは
晴れた空だってどこまでも広がっているわけではないけれど。
何の気なしに視線を漂わせれば、駅へと続く道を賑やかな数人が通る。
格好から考えて、近くの大学の学生か。
こんな平日の昼間に珍しい、と訝しんで
ああ、試験期間なのだろうかと思い至る。
あの頃
もう随分遠ざかった懐かしい学生時代。
授業の空き時間などによく僕は
学内の日当たりの良い芝生の斜面で、のんびりと昼寝をしたものだっけ。
あの場所は、今もあるのだろうか。
仲間達と盛り上がり、若さ故のイキオイで
自主休講を決めて突然に海まで車を走らせたこともあったな、
なんて思い出せば
当時の馬鹿騒ぎが遠く微かに蘇った。

思い切ってこの週末は、少し遠出をしてみようか。
久しく海も見ていないし、この季節ならばそう混みはしないだろう。
最近聴く暇も作ろうとしていなかった、それでも気に入りの音源を流して
国道をまっすぐに下ってみよう。
そう、きっと、悪くない。
急に自分の中で立ち上がった計画は、
なんだかとてもいいことのような気がして
ちょっとだけ、楽しい。
現実逃避、なんて当たり前の言葉が頭を過ぎるけれど
それもまた僕らしいのかもしれないと、小さく笑った。

結局時折色々考えてしまうこともあるけれど
きっと僕はこうして過ごしていくのだろう。
少しばかり真面目に何かを考えて、
そしてまた、何かしらのリセットをかけたりする。
思い悩んだ振りをしているだけで
結局それほどに真剣に考えていないんじゃないかって
呆れたような自分の声が聞こえたりもするけれど
思い悩んで動けなくなるよりは、随分とましじゃないかと
もうひとりの僕が言う。

腕時計の針はそろそろ仕事に戻る時間。
軽く伸びをして立ち上がる。
僕の代わりにベンチには
カラリと秋の色の葉が舞い降りていた。

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2013.10.28 Mon

ベッドサイドに置いた目覚まし時計は
幾分疲れた様子を見せながらも、もう随分と長い付き合いになる。
色あせ始めた、それでもネイビーのプラスチックの電池の蓋が
一カ所欠けているのはご愛敬。
最近どうにも電池の消耗が早い気もするし、
時間もずれやすいようにも思えるけれど
どうにも手放しがたく、時折時間を合わせながらも
付き合いを続けているのだ。
手を伸ばしてベッド脇のカーテンを開け、
朝の光に目を細めれば
僕に少し遅れて慌てたようにベルが鳴った。

カレンダーの風景写真を追うように
気温は緩やかな曲線を描きながら、少しずつ下がり始めていたけれど
どうやら今朝は随分と冷え込んだらしい。
差し込む光の色は随分とクリアーで
耳を澄ませば動き出し始めた街の音の向こうに
小さく電車の音が聞こえた。

珍しくミルクティーなんて淹れてみて、
新聞を片手にテレビを点ける。
“本日は一日を通して晴、朝晩は冷え込みが厳しいでしょう”
そんな天気予報に
冬物のコートを出しておけばよかった、そう思っても
僅かの手間がなんだか面倒くさくて。
と言っても作り付けのクロゼットの中、
あまり多くは無い衣類の中から簡単に取り出せてしまうのだけれど。
続いて流れる『今日の運勢』にちょっとだけ溜息をつく。
まあ、いいんだけどね。

駅に向かういつもの道は、きっとこの気温のせいで
朝日が妙に眩しくて
僅かに目を細めながらも、冷えた空気に背筋を伸ばした。
さあ、今日も頑張ろう、なんて
とても気恥ずかしくて口になんて出せないけれど。

緩やかな坂道を通って少し
駅前の信号は
ちょうど今、青に変わった。


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2013.10.15 Tue

もしも
幸せですか?と聞かれたのなら
そうですね、幸せです、と
いつか気負わずに答えられるような
そんな人に
僕はなりたいのかもしれない、なんて
考える日もあるけれど・・・。

理想の幸せのカタチなんて、あってないようなものだろうし
仮に何かしらの形を取れたとしても
それはきっと人それぞれ。
僕にとってのそれと誰かにとってのそれは異なるもの。
例え同じに見えたとしても、完全な相似ではないんだろう。
そしてそもそも僕は
自分がどうありたいのか、どうしていきたいのか、
そんなことはいつまで経っても霧の向こうにあるようで
求めるカタチの輪郭すら目にすることが出来ていないから
時々、足元すら不安定に感じられることも
あったりなんかもするわけで。

ついていることもついていないことも
上手くいくこともいかないことも
きっと最終的には同じくらいになるんだと分かっていても
焦燥に似た何かを持て余すことがある。
歩けば歩くほど、靴の踵と同じように僕の中の何かがすり減っていく。
ふとそんなことを思ってしまった自分を
らしくない、と笑い飛ばすことも難しくて。

今、は二度と無いと、誰しもが分かっているだろうけれど
それを
だから大事にしたいのか
だからさらりと過ごしてしまいたいのか・・・。
悩むことも悩まないことも、どっちも多分必要なことで、
導かれる全ての答えが正解だなんて有り得ないし
答えに辿り着かなければならないなんてこともないはずだ。
『思うままに進んで下さい』
そんな言葉をどこかで耳にして、一瞬何かが見えた気がしても
結局、思うままが何なのか、分からないから何処へも行けない。
どこかにあるはずのゴール地点は
いつまで経っても僕には見えない。
だからと言って、立ち止まっていることもまた、何か違うと思うから。

結局色々考えても
そんなこんなの堂々巡り
でもこれがきっと僕のペースなのかもしれないと
小さな溜息に似た呼吸で、軽く目を閉じた。
それから
ほんの少し、顎を上げて見上げた空は
抜けるような青さなんて、ほど遠い曇天で
なんだか妙に力が抜けて苦笑が零れる。

迷ったり、立ち止まったり、急いだり、
そうしている間に指の間をすり抜けたものは
その時は手の中に取り戻すことは出来ないだろうけれど
でも、いつか
違う形で、それを手のひらの上に乗せることなら
出来るのかもしれない
その時にそれにちゃんと気付くことができるように
僕が歩いて行けたなら
もしかしたら、それでいいのかもしれないなんて
ちょっとだけ今の僕は思っている。

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2013.09.25 Wed

どうにも少しだけ調子が悪くて
風邪気味の体は熱っぽい。
幸いにして週末だからひたすら寝てもいられるのだけれど
しん、とひとりの部屋がこんな時だけやけに広い。
ひとりでいる時間なんて随分と長く過ごしてきたから
今更それが気になることなんて無いはずなのに。
やはり調子が悪い時の僕は
随分と情けなくなるらしい。

まどろんでいるうちにどうやら懐かしい夢を見たのだろう。
目を開けても僕はまだ少しだけ少年の気分だった。
金色の陽だまりのような
穏やかな時の流れに包まれて
過ごした幼い時間を思い出す。
あの頃風邪をひいた時はいつでも、母が飲み物を作ってくれた。
レモンのかわりに蜜柑をぎゅっと絞って
甘さを落とした紅茶には氷をふたつ。
喉に優しい甘さと、ほどよくぬるい温度のそれが
僕はとても好きだった。

もう少しだけ眠ったら、いくらか調子も良くなるだろうから
着替えて買い物に行くことにしよう。
蜜柑と蜂蜜、そして紅茶
もう随分と懐かしい、
あの暖かな味が出せるとも思えないけど。

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2013.09.22 Sun


ビルの隙間にやわらかく昇った月が白い。
日中にはまだ所々に残る熱も、
流石にこの時間ともなればもう完全に和らいで
切ったばかりの襟足を通る夜風は冷たさすら感じさせる。
退社時間は疾うに過ぎて人影は、まばら。
一日の疲れを、何とはなしに溜息に乗せて宵闇に放つ。
手にした鞄が少し重い。
夕食らしい夕食なんて放りっぱなしになっているけれど
まあ、いいか。
冷蔵庫からビールだけを流し込んで
眠ってしまう方がいい。

昨日までの僕と、今日の僕では
きっと何処にも違いなんか無くて
明日の僕もこうして疲れた靴で駅に向かうのだろう。
それがどうだと言うこともないけれど。
信号待ちの交差点
薄雲が空を横切って、月影も朧に消えていく。
オフィス街の二車線道路は、もう閑散としているばかり。
“忙しい”に縁取られたこの頃に
自分の声さえ聞こえなくなる。
どこか遠くでクラクションが騒いでいる。
そんなに急がなくてもいいのに、
なんて思って息を吐きながら空を仰げば
結局は自分も似たようなものかと気付いて少し可笑しい。
毎日が上り階段続きであることもないし、
下り階段ばかりであるはずもない。
きっと楽しいことばかりでは無いけれど
つまらないことばかりでも哀しいことばかりでも無いんだって
そう、知っているのに。
信号が青に変わる。
交差点を渡って少し歩けば、もうすぐ駅。
何の気なしに振り向けば
いつの間にか薄雲は流れ、月が顔を出していた。

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