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  昨日見た空は、きっともう何処にも無くて       明日見えるはずの空の色は僕にはまだわからない。
2024.11.22 Fri
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2014.10.07 Tue
雲間から満月が、丸い色で静かに世界を見ている。
日中は強かった風も今は凪いで
時折葉擦れの音が聞こえるだけ。
この季節の月の光はやっぱりちょっと柔らかくて
おつかれさま、と言ってくれているかのようで。
至極ありきたりな僕の毎日の疲れなんて
実際の所、然程でもないのだろうけれど
それでもそうして穏やかな色を目にすると
ほっと息をつけたりするんだ。
信号が青に変わる。
あと一つ、角を曲がれば
住み慣れた部屋が見えてくる。
幸い今日はそんなに遅くはないから
たまにはドリップでコーヒーを落として
ちょっとだけ音楽でも聴こうか。
あのCDは何処に置いたかな、そんなことを思えば
また少し、鞄が軽くなった気がした。

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2014.09.27 Sat
街路樹が葉擦れの音を立てている。
こころなしか、空の青もその光を変えて。
蝉時雨はカレンダーの向こうに遠ざかり、
長袖のシャツを乾いた風が通る。
久しぶりに本屋まで、と足を伸ばした休日は
どうやら予想外に気分が良くて
珍しくも缶コーヒーなんて片手に
のんびりと僕は散歩を楽しんでいる。
忙しくても、それなりに余裕があっても
立ち止まっていても、走っていても
毎日は、止まること無く流れて過ぎて
風の色が変わって暫くしてからやっと
僕は季節変わりに気付くようで。
次の季節の巡る頃も、おそらくは来年の今頃も
僕は同じように、少し遅れて空を見るのかもしれない。
少し未来の僕もきっと
今とあまり変わりはしないのだろうと思えば
僅かばかり苦笑も漏れそうになるけれど。
溜息を、ひとつ。
缶コーヒーを一口飲んで
「それもまあいいのかもしれないな」
なんて独りごちれば
風がまた、街路樹を揺らして通った。

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2014.09.09 Tue
毎日ほぼ同じ時間の快速電車での帰宅途中
ガラス越しに流れる街の光に温度なんて感じられなくて
イミテーションに思えたりすることがある。

目に見えていることが全てではないと、
勿論分かってはいるけれど。
見えないことを全部理解するなんて出来るわけもないし
何が本当なのかなんて、きっと誰にも分からない。
空や風に色々な色があるように
やり方は一つきりではないのだろうと知っている。
投げ出してしまえばそれで終わりと
分かった上で、それでも
諦めてしまってもいいんじゃないかなんて
心のどこかで僕は思ったりもする。
そうまでして必死にやらなくてはならないのかと。
でもただやっぱり思うのは
此処で放り出してしまったならば
絶対に何時か僕はどこかで後悔をするのだろう、と。
それでもいいやと思えるほどに達観は出来なくて
だからどうにもならなくて
妙な焦燥感が積もったりもする。

ひとつ、小さく息を吐いた。
また、電車は駅に着いて
疲れた靴音が入れ替わる。
ドアが閉まって電車が揺れて
看板の連なりを通り過ぎれば
ビルの間に月が見えた。
やわらかな黄色は、確か十六夜。
月の満ち欠けや星の世界に心惹かれた少年時代を
何故だか不意に思い出して、そっと笑った。
部屋に帰ったら窓を開けてみよう。
僕の部屋の窓からも
あの月は見えるだろうか。

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2014.08.21 Thu
熱帯夜のせいか、やけに早く目が覚めた朝
なんとなく思い立って
カメラなんて手にして散歩、なんて
らしくもないのかもしれないけれど。
アラームの時間にはまだ一時間以上もあるから
のんびり歩いてからシャワーを浴びることにしても
それなりの余裕がありそうで。
普段であれば間違いなくまだ寝ている時間帯。
真夏の角度で地表に注ぎ始める朝日が
時計の針から思うよりも、もう随分と明るく世界を照らしてはいても
良く知ったはずの風景なのに、どこか違和感に似たものを感じて。
目を瞑っていても歩けそうな程に慣れた駅までの道も
スーツを着ていない僕にはなんだか目新しい。
何人か、犬の散歩をする人がいる。
通り過ぎる車もまばらで、いつもは聞こえない葉擦れの音が耳を通る。
見慣れた道の、見慣れない風景に
何度か立ち止まって僕はシャッターを切った。
もう何年も暮らす町なのに、少しだけ知らない場所のようで
ちょっと不思議な気分になる。
周りのことを見る余裕も無いぐらい忙しい毎日でもないはずなのに
まだまだ僕の世界には知らないことがたくさんあるようだ。
そのうち今度は違う方向に歩いてみようか。
公園通りを東へ折れれば
また違う風景が見られるだろう。
本来ならば早起きがどうにも苦手な僕のこと
実践にはなかなか時間がかかるかもしれないけれど。
でもこうして過ごす時間が
あるのもいいんじゃないかと今思っている。
ファインダー越しに街路樹の葉が
陽を受けて、眩しく光った。

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2014.08.14 Thu
上手く出来ないことも、思うとおりにいかないことも、
幾つだっていつでもあるから
俯いてしまいたくなることも、結構多くて。
こんなことじゃいけないって思ってみても
思うばかり、焦るばかり。
なんとかやっているつもりでも
気を抜けばすぐに堂々巡りに逆戻り。
俯くことは簡単で、なのに上を向くことはなかなかに大変で。
前を向いていないといけない、なんて
そんな絶対を思うわけじゃないけれど、
それでも敢えて頑張らなくちゃと思わなければ
立ち止まって後ろを向きたくなることも少なくはない。
でも出来ることなら何時だって
背筋を伸ばして前を見つめて
確かに歩いていたいんだ。
大それた、確固たる理想、なんてものがあるわけじゃないし
どうしても、な夢があるわけでもない。
理想を掲げられるほど
純粋でも無いし、強くもないけれど。
それでもきっと
僕には僕なりの道は確かにあるのだと
ほんの時々心の片隅で、そう呟いてみたりもするんだ。

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